「働きたいのに働けない」現場のジレンマ
「社長、これ以上働くと『扶養』から外れちゃうんで、来週からシフト減らしてください」 「えっ! 繁忙期なのに困るよ! なんとかならんのか!?」
関市の工場やスーパーで、こんな会話が繰り返されています。 いわゆる**「年収の壁(106万円の壁)」**問題です。
以前は「130万円」が基準でしたが、法改正により、従業員数が51人以上の規模の会社では、基準が**「約106万円(月額8.8万円)」**に下がっています。
これにより、多くのパートさんが「手取りが減るくらいなら働かない!」とシフトを削り、会社は「人手不足」に陥る…という悪循環が起きています。
今回は、この問題を乗り越えるための**「社長の武器(助成金)」と「従業員への説得材料」**について解説します。
1. そもそも、誰が対象になるの?(4つの要件)
まずは基本の確認です。従業員数51人以上の会社で、以下の4つを全て満たすパート・アルバイトさんは、社会保険(厚生年金・健康保険)に入らなければなりません。
- 週の労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円)
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
「うちは50人ギリギリだけど…」という社長、要注意です。 厚生労働省は「過去6ヶ月で51人以上になった月が何回あるか」などで厳しくチェックしています。ある日突然、通知が届くかもしれません。
2. パートさんを説得する「2つのメリット」
「保険料を引かれるのは嫌だ!」というパートさんには、目先の「手取り」だけでなく、**「将来の安心」**を説明してあげる必要があります。
① 将来もらえる年金が増える(2階建て) 国民年金だけよりも、厚生年金に入れば将来の受取額が増えます。「老後の自分への仕送り」が増えるイメージです。
② 「傷病手当金」がもらえる これが大きいです。国保や扶養内では、病気で休んでも補償はありません。しかし社会保険に入れば、万が一の時に給料の3分の2が補償されます。
「万が一働けなくなった時、家族に迷惑をかけたくないですよね?」という言葉は、パートさんの心に響きます。
3. 社長の切り札!「手取りを減らさない」助成金
それでも「手取りが減るのは困る」という場合、会社が使える最強の支援策があります。 それが**「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」**です。
これは簡単に言うと、 「社会保険に入って手取りが減っちゃう分を、会社が『手当』や『賃上げ』で埋め合わせしてくれたら、国が会社にお金をあげますよ」 という制度です。
- 手当支給メニュー: 社会保険適用促進手当を払うと、従業員1人あたり最大50万円助成
- 労働時間延長メニュー: 働く時間を延ばすと、1人あたり最大30万円助成
これを使えば、**会社は負担を抑えつつ、パートさんの手取りを維持(またはアップ)**させることができます。
まとめ:制度を「活用」して、良い人材を確保しましょう
「社会保険の適用拡大」は、会社にとってコスト増に見えるかもしれません。 しかし、逆に考えれば**「パートさんにも正社員並みの保障を用意できる会社」**になれるチャンスです。
「うちは社保完備だから、安心して長く働けるよ」 そう言える会社には、優秀なパートさんが集まってきます。
- 従業員数のカウント方法が不安
- キャリアアップ助成金の申請が複雑すぎる
そんなお悩みは、飛騨屋社労士事務所にご相談ください。


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