「契約書さえあれば大丈夫」は通用しなくなる?
「うちは社員じゃなくて、みんな『外注(一人親方)』だから」 「社会保険料がかからないように、業務委託契約にしてあるよ」
関市の建設業や製造業の社長様から、よくこんなお話を伺います。 確かに、お互い納得の上で「請負契約」を結んでいるなら問題ない……はずでした。
しかし、今、厚生労働省で**「労働者(従業員)とは何か?」という根本的な議論が進んでいます。 先日公開された「議論の整理(案)」を見ると、「契約書の名前がどうあれ、実態を見て判断する」**という姿勢が、より一層強化される方向性が示されています。
今日は、まだ「案」の段階ですが、社長が今のうちに知っておくべき「震源地」の情報をお伝えします。
1. 「指揮命令」があれば、それはもう「社員」です
今回の報告書案で改めて議論されているポイントの一つが、**「指揮監督下の労働かどうか」**です。
例えば、形式上は「業務委託」の職人さんに対して、こんなことをしていませんか?
- 「明日は朝8時に現場に来て、この作業を夕方5時までにやってくれ」と時間と場所を細かく指定している。
- 「この仕事やって」と頼んだ時に、相手に断る権利(諾否の自由)がない。
- 作業の進め方を細かく指示し、本人の裁量がない。
もしこれに当てはまるなら、国は「それは外注ではなく、労働者(社員)だよね」と判断する可能性が高まります。 そうなると、過去に遡って「残業代」や「社会保険料」を請求されるリスクが発生します。
2. 「フリーランス・ギグワーカー」だけの話ではありません
「Uber Eatsのような新しい働き方の話でしょ?」と思われがちですが、違います。 この議論の影響を最も受けるのは、**昔ながらの建設現場や工場の「常用外注」**です。
報告書案では、「裁判で争わなくても判断できるように、もっと分かりやすいガイドラインを作るべきではないか」という議論もされています。 つまり、今後は労働基準監督署の調査などで、「この外注さんは実態が労働者なので、是正してください」と指摘されるケースが増えることが予想されます。
3. 「案」の段階で動くのが、賢い経営者
なぜ、決定してからではなく、今のタイミングでお伝えしたのか。 それは、「契約形態の変更」には時間がかかるからです。
もし実態が「社員」に近いなら、
- 正式に雇用契約を結んで、社会保険に入れる(助成金を活用する)。
- 完全に独立した事業者として扱えるよう、指示系統や発注方法を見直す。
このどちらかに舵を切る必要があります。 法律が決まってから慌てて変更しようとすると、現場の職人さんと揉める原因になります。
まとめ:グレーゾーンをホワイトにする準備を
この報告書はまだ「案」です。 しかし、国の方向性は**「働く人を守るために、労働者の範囲を広げる」**という方向で間違いありません。
「うちは大丈夫かな?」と不安になった社長様。 飛騨屋社労士事務所では、現在の契約書と現場の実態を照らし合わせ、「偽装請負リスク」の診断を行っています。
地雷が爆発する前に、プロと一緒に「安全な契約」に整えませんか?


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