2026年10月は、労務の実務に影響する改正や新制度が、10月1日に一度に重なりました。労務担当者・経営者の方向けに、一覧と要点をまとめます。
10月1日に重なった主な改正
| 項目 | 内容 | 主な対象 |
|---|---|---|
| カスタマーハラスメント対策の義務化 | 方針の明確化、相談体制の整備、事後対応などの措置が義務に | すべての事業主(労働者1人でも) |
| 就活セクハラ防止措置の義務化 | 求職者等に対するセクハラの防止措置が義務に | すべての事業主 |
| パート・有期社員の雇入れ時の明示事項の追加 | 「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」を明示 | パート・有期雇用労働者を雇い入れる事業主 |
| 同一労働同一賃金ガイドラインの改正 | 退職手当、家族手当、住宅手当などが新たに追加 | パート・有期社員がいる事業主 |
| 短時間労働者の社会保険の賃金要件の撤廃 | 月額8.8万円以上という要件がなくなった | 従業員51人以上の企業など(ほかの要件あり) |
| 保険料調整制度の開始 | 事業主が保険料を一時的に一部負担し、通算3年間、本人の負担を軽減 | 新たに任意特定適用事業所となった事業所など |
| 岐阜県の最低賃金の改定 | 1,121円(10月1日発効) | 県内の事業場 |
カスタマーハラスメント対策
厚生労働省は、令和8年2月26日に、指針(令和8年厚生労働省告示第51号)を公表しました。事業主が講ずべき措置は、5本柱・10項目に整理されています。
- 方針の明確化と周知・啓発
- 相談体制の整備
- 事後の迅速かつ適切な対応
- 悪質なケースへの対処など、抑止のための措置
- 相談者のプライバシー保護と、不利益取扱いの禁止
措置の違反そのものに刑事罰はありません。ただし、国から報告を求められたのに報告しない、または虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料の対象です。また、助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は、企業名が公表される可能性があります。
就活セクハラ防止措置
同じ10月1日から、求職者等へのセクハラ防止措置も、すべての事業主の義務になりました(令和8年厚生労働省告示第52号)。面接や説明会に限らず、インターンシップやOB・OG訪問、SNSなども対象になり得ます。方針の明確化、相談窓口の周知、事後対応、プライバシー保護などが求められます。
パート・有期社員に関する改正
雇入れ時の明示事項に、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」が加わりました。明示しない場合は、10万円以下の過料の対象です。同一労働同一賃金ガイドラインでは、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、褒賞が新たに追加され、賞与や福利厚生施設、病気休職の記載も充実しました。
社会保険の適用拡大と保険料調整制度
令和7年年金制度改正法に基づき、短時間労働者の社会保険の賃金要件(月額8.8万円)が撤廃されました。残る要件は、週の所定労働時間が20時間以上、従業員51人以上の企業であること、学生でないことです。保険料調整制度は、事業主が被保険者の保険料を一時的に一部負担する制度で、事業主が最終的に納付する保険料は増えず、将来の年金額にも影響しないとされています。
10月中に確認したいこと
- カスハラの方針、相談窓口、対応手順を、従業員に周知したか
- 採用担当者や面接官に、就活セクハラの注意点を伝えたか
- 労働条件通知書と雇用契約書の様式を、新しい明示事項に合わせたか
- パート・有期社員の手当を、ガイドラインに沿って点検したか
- 週20時間以上働く短時間労働者の、社会保険の加入状況を確認したか
- 最低賃金(1,121円)を下回る賃金がないか
これからの予定
令和9年1月からは、療養・育児・介護と仕事を両立するための就労調整で報酬が急減した場合の、標準報酬月額の特例改定が始まります。労働基準法の改正は、法案がまだ提出されておらず、9月16日に労働政策審議会で議論が再開されたところです。
まとめ
- 10月1日に、カスハラ対策、就活セクハラ対策、パート・有期社員の明示事項、同一労働同一賃金ガイドライン、社会保険の適用拡大が、一度に動きました。
- 規程や様式の見直しは、早めに進めましょう。
当事務所では、就業規則の見直しや、社会保険の手続きをサポートしています。お気軽にご相談ください。
※本記事は令和8年10月15日時点の情報です。最新の内容は、厚生労働省・日本年金機構のホームページでご確認ください。
参考:厚生労働省 告示第51号・第52号、日本年金機構「賃金要件の撤廃」「保険料調整制度」、岐阜労働局


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