令和8年10月1日から、同一労働同一賃金ガイドラインが、初めて改正されて適用されます。退職手当や家族手当、住宅手当などが、新たに追加されました。パート・有期社員がいる事業主が、いま点検したい待遇差と、手順を整理します。
改正の概要
令和8年4月28日に、パートタイム・有期雇用労働法の施行規則等の改正が公布・告示されました(令和8年厚生労働省令第87号、厚生労働省告示第201〜203号)。同一労働同一賃金ガイドライン(告示第203号)は、トラブルを防ぐために、最近の最高裁判決の内容を盛り込んで、改正されています。
新しく追加された項目
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 退職手当 | 目的に応じた、均衡のとれた支給が求められる |
| 無事故手当 | 業務内容が同じなら、同一の支給が必要 |
| 家族手当 | 契約の更新を繰り返すなど、相応に継続的な勤務が見込まれる場合は、同一の支給が必要 |
| 住宅手当 | 転居を伴う配置変更を要件とする場合、同じ配置変更がある人には同一の支給が必要 |
| 夏季・冬季休暇 | 同一の休暇を付与する |
| 褒賞(一定期間の勤続に対するもの) | 同じ期間勤続したパート・有期社員には、同一の褒賞を付与する |
あわせて、賞与、福利厚生施設、病気休職の記載も、充実しました。賞与や退職手当は、支給の目的に応じて、均衡のとれた支給をする考え方が、整理されています。福利厚生施設は、利用料金や割引率などの利用条件に、不合理な差を設けてはいけません。
すべてを同じにする必要はありません
同一労働同一賃金は、正社員とパート・有期社員の待遇を、すべて同じにする制度ではありません。手当の性質や目的、職務内容、配置の変更の範囲などを踏まえて、違いが不合理かどうかを判断します。
点検の手順
- 手当と制度を一覧にする。 賞与、退職手当、家族手当、住宅手当、休暇、褒賞など、待遇を洗い出します。
- 支給の目的を整理する。 それぞれの手当が、何のために支給されているのかを、書き出します。
- 対象者と支給要件を確認する。 正社員のみを対象にしている手当と、その理由を確認します。
- 職務内容と配置変更の違いを比べる。 正社員とパートの、業務の内容、責任の程度、転勤や配置変更の有無を比べます。
- 差が説明できるか判断する。 目的と実態に照らして、違いを説明できない手当は、見直しの候補にします。
- 規程と通知書を改定する。 就業規則や賃金規程、労働条件通知書を、見直します。
差をなくすときは、正社員の条件を下げるのではなく、パート・有期社員側の条件を改善する形で進めることが求められます。
あわせて必要なこと
10月1日から、パート・有期社員を雇い入れるときに、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」を明示する必要があります。明示しない場合は、10万円以下の過料の対象です。説明を求められたときに、答えられるよう、手当ごとの目的を整理しておきましょう。
まとめ
- 同一労働同一賃金ガイドラインは、令和8年10月1日から改正されて適用されます。
- 退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季・冬季休暇、褒賞が、新たに追加されました。
- 手当の目的を整理し、差を説明できるかを、点検しましょう。
当事務所では、賃金規程や就業規則の見直し、労働条件通知書の整備をサポートしています。お気軽にご相談ください。
※本記事は令和8年10月16日時点の情報です。最新の内容は、厚生労働省のホームページでご確認ください。
参考:厚生労働省告示第203号(令和8年4月28日公布)、北海道労働局「同一労働同一賃金ガイドラインの改正」資料、弁護士事務所の解説資料


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