従業員が退職したとき、会社には社会保険と雇用保険の届出が必要です。この記事では、岐阜県の中小企業の事業主や人事担当者に向けて、資格喪失届と離職証明書の期限、離職票の渡し方、年末に退職する人への対応をまとめます。
退職時に必要な手続きの全体像
退職時の主な手続きは、次の3つです。
- 健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格喪失届」(年金事務所へ)
- 雇用保険の「被保険者資格喪失届」と「離職証明書」(ハローワークへ)
- 源泉徴収票の交付や住民税の手続きなど、給与まわりの対応
「資格喪失届」とは、従業員が保険の加入者でなくなったことを届け出る書類です。「離職証明書」は、退職者が失業給付を受けるときに必要な「離職票」のもとになる書類です。
健康保険・厚生年金の資格喪失届
日本年金機構の案内では、退職などの事実が発生してから5日以内に、事業主が「被保険者資格喪失届」を提出します。提出先は、事務センターまたは管轄の年金事務所です。電子申請、郵送、窓口持参から選べます。
資格喪失日の考え方
退職の場合、資格喪失日は退職日の翌日です。たとえば3月31日付けで退職した場合、資格喪失日は4月1日になります。
保険証(資格確認書)の回収
協会けんぽの場合は、交付されている資格確認書などを届出に添付します。回収できないときは「資格確認書回収不能届」を添付します。
70歳以上の人の場合
70歳以上の被用者が資格を喪失するときは、「70歳以上被用者不該当届」も提出します。
雇用保険の資格喪失届と離職証明書
雇用保険の手続きは、事業所を管轄するハローワークに行います。資格喪失届は、被保険者でなくなった日の翌日から数えて10日以内に提出します。
離職票を希望する退職者がいるときは、資格喪失届に加えて、離職証明書(3枚1組)を提出します。
離職票が必要な場合
- 退職者が離職票を希望しない場合は、資格喪失届のみで足ります。
- 59歳以上の退職者には、本人の希望にかかわらず離職票の交付が必要です。
- 離職証明書の提出が不要な場合でも、退職者から求められたら交付に応じる必要があります。
離職票のマイナポータル送付
令和7年1月20日から、希望する退職者に、離職票をマイナポータル経由で直接送るしくみが始まりました。岐阜労働局の案内では、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 届け出たマイナンバーが、被保険者番号と適切に結び付いていること
- 退職者本人が、マイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定をしていること
- 事業主が、電子申請で雇用保険の離職手続きを行うこと
紙の届出では、このしくみは使えません。電子申請に切り替える場合は、事前に準備しておくと安心です。
期限の一覧
| 手続き | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金の資格喪失届 | 年金事務所 | 事実が発生してから5日以内 |
| 雇用保険の資格喪失届・離職証明書 | ハローワーク | 被保険者でなくなった日の翌日から10日以内 |
年末に退職する人への対応
年末に退職する人がいるときは、次の点を確認しておきましょう。
- 源泉徴収票を、退職者に渡す
- 年内に再就職するか、しないかを聞く(年末調整の扱いに関わります)
- 住民税の納め方が変わることを伝える
- 退職後の健康保険(任意継続、国民健康保険など)の選択肢を案内する
退職後の健康保険の手続きには期限があります。詳しい期限は、協会けんぽや市町村の窓口で確認するよう案内しましょう。
手続きの流れと実務チェックリスト
退職者が出たら、次の順で進めると抜けを防げます。
- 退職日と、退職理由を確認する
- 保険証(資格確認書)を回収する。回収できないときは、その旨を記録しておく
- 健康保険・厚生年金の資格喪失届を、年金事務所に出す
- 離職票を希望するかどうかを、退職者に確認する
- 雇用保険の資格喪失届と離職証明書を、ハローワークに出す
- 電子申請で手続きした場合は、マイナポータルでの受取りを希望するか確認する
- 最後の給与、源泉徴収票などを整理して渡す
岐阜県の事業所の場合、提出先のハローワークは事業所の所在地で決まります。提出先を間違えないよう、事前に管轄を確認しておきましょう。
よくある質問
Q1. 退職日が月末のときは、資格喪失日はいつですか。
退職日の翌日です。たとえば3月31日付けで退職した場合、資格喪失日は4月1日です(日本年金機構の案内)。
Q2. 離職票は、必ず出さなければなりませんか。
退職者が離職票を希望しない場合は、資格喪失届のみで足ります。ただし、59歳以上の退職者には、本人の希望にかかわらず離職票の交付が必要です。また、離職証明書の提出が不要な場合でも、求められたら交付に応じる必要があります。
Q3. 紙で届け出ても、マイナポータルで離職票を渡せますか。
事業主が電子申請で離職手続きを行うことが、条件の一つです。紙での届出では、この方法は使えません。
まとめ
- 健康保険・厚生年金の資格喪失届は、事実が発生してから5日以内に年金事務所へ提出します。
- 雇用保険の資格喪失届と離職証明書は、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内にハローワークへ提出します。
- 離職票のマイナポータル送付には、電子申請などの条件があります。
- 年末の退職では、源泉徴収票や退職後の健康保険の案内も忘れずに行います。
当事務所では、退職時の社会保険・雇用保険の手続きや社内規程の整備のご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
※本記事は令和8年10月26日時点の情報です。最新の取扱いは、日本年金機構・岐阜労働局(ハローワーク)の案内でご確認ください。
参考
- 日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(被保険者資格喪失届)」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20150407-02.html
- 岐阜労働局「雇用保険に関する手続き(離職票のマイナポータル送付)」 https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_hoken/_120758_00019.html
- 徳島労働局 雇用保険被保険者資格喪失届の案内(10日以内・離職証明書) https://jsite.mhlw.go.jp/tokushima-roudoukyoku/content/contents/002554336.pdf


コメント